
日常生活で「ここの壁にフックを付けたい」、「この棚を取り付けたい」、「ビスが緩んだので止めなおしたい」といったことは良くあることですよね。
でも、どのビスを選んだらいいのか分からず、上手に留められないことはありませんか?
ここでは、素材や目的(用途)に合ったビスの選び方と、ビスを打つ際のコツをまとめてご紹介いたします。
ビスの基礎知識:種類、使い方、取り付けのポイントを徹底解説!
1.ビスとネジとボルトの違いについて
まず、「ビス」「ネジ」「ボルト」はよく似ていますが、実は少しずつ異なるものです。以下にそれぞれの特徴と違いをまとめました。
- ビス
一般的に、先端が尖っていて直接素材に食い込んでいくものを指します。
ネジと違って直径が細くなっているので、「テーパーネジ」とも言います。 - ネジ
一般的に、ネジ全体が先端まで平行になっているものを指します。
①のテーパーに対して、「平行ネジ」とも言います。取り付ける際は、素材のメスネジもしくはナットが必要となります。
また一方で、ビスとボルトの総称として、らせん状の溝があるものすべてをネジと呼ぶこともあります。 - ボルト
ネジの中でも比較的太いものをボルトと呼びます。締め付けやすいようにするため、頭が六角形のものが一般的です。
本コラムでは、この中で最もさまざまな用途で使い勝手がよいビスについて解説していきます。


2.壁などの材質による注意点
壁の材質や構造も、ビス選びには大切なポイントです。以下のように材質別に適したビスが異なります。
- 石膏ボード(プラスター)
ご家庭の内装壁で、一番多く使われている材料です。表面はクロス仕上げになっていて、画鋲でポスターやカレンダーを貼っている方も多いと思います。
ですが、ビスを打とうとすると内部の石膏がすぐにボロボロになったり、また上手く効いたと思っても負荷がかかると簡単に緩んでしまいます。
よって、通常のビスですと利きが悪く強度が不足するため、専用の「ボードアンカー」を使用するなどの工夫を必要とします。
ボードアンカーには、ビスを締めると石膏ボードの裏側でアンカーが開いて表側と挟み込むことによって固定されるものや、アンカーそのものに溝の広いネジ山が切ってあり、石膏ボードにねじ込んで固定するものなどがあります。
どちらも多少のコツを必要としますがどなたでも取り付けられます。
なお、失敗した時や不要になったビスを外した後に残った穴の修復には、補修用のパテを使いましょう。でも小さな穴でしたら木工用ボンドでも大丈夫ですし、キリのようなものを使って穴の周りの石膏を少しほぐして穴に詰め込むだけでも、意外とキレイに塞げます。


2. 木材
木ビスやコーススレッドなどのタッピングビスが適しています。材質の中で一番ビスが効きやすく、安定して固定できます。ただし細い、または薄い木材や、木材の角にビスを打つ場合などは割れてしまう可能性が高いため、下穴を開けてからねじ込む方が良いでしょう。

3. プラスチック
下穴を開けて正しくねじ込めば、プラスチックでも普通のビスが使えます。
先がキリのようになっているプラスチック専用のビスもあります。ただし、薄いプラスチックや重いものなど負荷がかかるものの固定には不向きです。下地としてベニヤ板などの木材が必要でしょう。

4. コンクリートやタイル
硬いコンクリートには専用の「コンクリートビス」やアンカーが必要です。下穴を開けたり、アンカーを使用したりすれば、割と簡単にビスを打てます。
タイルは割れる可能性があるので、目地にビスを打つようにした方が無難です。

5. 金属
金属にもビスを使用できます。こちらも下穴を開ける必要がありますが、先端がドリルになっていて充電ドライバーを使いねじ込むことで、ビス自体が自分で穴を開けながら締められる金属専用のビスもあります。
ただし、プラスチックと同様、薄い金属板の場合は下地材がないと安定しません。

3.目的(用途)によって選ぶビスが変わる
取り付けるものによって、以下のとおり選ぶべきビスも異なります。
- 重さ
たとえば軽い写真フレーム用には短いビスで十分ですが、棚などの重いものを支えるためには長く、太いビスを使う方が安全です。 - 負荷がかかるかどうか
額縁など取り付けた後はそのまま負荷がかからないものに比べて、タオル掛けやフックなどは設置するものの重さ以上にがっちりと固定する必要があります。
特に石膏ボードは負荷がかかるとすぐに穴が緩み、外れてしまいがちなので注意が必要です。 - 設置する場所
どこに設置するかによって注意が必要です。お風呂場や屋外など濡れやすいところは、ステンレスなどの錆びない材質のビスを選択しましょう。 - ビスやネジの頭の形状
ビスやネジの頭には、目的によって主に以下のような種類があります。
・ナベ頭 :鍋を伏せたような形状をしています。ドライバーが深く刺さり、しっかりとねじ込むことができます。
・トラス頭:ナベ頭より平たく、少し大きくなっています。頭の接地面が広いので、素材にしっかり固定できます。
・皿頭 :頭が平たく、素材とビスが平らに仕上がります。ドアの蝶番や床面や隙間をなくしたい箇所に適しています。ただしケースによっては、頭がキレイに素材に収まるように座ぐり加工をする必要があります。
以下は主にネジに多い頭です。ビスにはあまり使われていません。
・六角穴 :六角形の穴が空いています。六角レンチで締め付けます。
・六角頭 :頭が六角形になっているビスで、スパナやレンチを使って締めます。強度を求める際に有効です。
場所や取り付けるものの重さや用途によって、ビスの種類や取り付け方法を選びましょう。


4.どんなビスを選ぶべきか、早見表にしました
目的や素材別にどんなビス(場合によってはビス以外のものもあります。)を選択するべきか、早見表を作ってみました。
ぜひご参考になさってください。
目的(用途) | 素材 | おススメのビスや材料 | 充電ドライバー |
額縁(小)やフォトフレームなど | 石膏ボード
| ボードアンカー・ボード用押しピン | 不要
|
木材
| 木ビス(小)・釘(小) | 不要 | |
プラスチック
| 両面テープ | 不要 | |
コンクリート・タイル
| 両面テープ・コンクリ用釘(小) | 必要 | |
金属 | 両面テープ | 不要
| |
額縁(大)や棚 | 石膏ボード
| ボードアンカー
| 不要
|
木材
| 木ビス・コーススレッド・釘
| あれば尚可 | |
プラスチック
| タッピングビス
| 必要 | |
コンクリート・タイル | コンクリート用ビス | 必要 | |
金属 | タッピングビス・金属用ビス | 必要 | |
フックやタオル掛け | 石膏ボード | ボードアンカー | 不要 |
木材 | 木ビス・コーススレッド | あれば尚可 | |
プラスチック
| タッピングビス | 必要 | |
コンクリート・タイル
| コンクリート用ビス | 必要 | |
金属 | タッピングビス・金属用ビス | 必要 | |
家具の固定・木材の接続など | 石膏ボード | ボードアンカー
| 不要
|
木材
| コーススレッド・スリムビス | 必要 | |
プラスチック | タッピングビス | 必要 | |
コンクリート・タイル | コンクリート用ビス | 必要 | |
金属 | タッピングビス・金属用ビス | 必要 |
5.注意すべき点をまとめました
ビスを使う際には、以下の点に注意しましょう。
- 下穴を開ける
硬い壁材や、しっかりと固定したい場合、または素材が割れないようにするためにも、先に下穴を開けておくことは重要なポイントです。 - 適切な工具を使う
無理にビスをねじ込むと、頭がつぶれたり、壁材が傷ついたりすることがあるため、ドライバーやインパクトドライバーは適切なものを使いましょう。
ドライバーとビス頭がぶれずにきちんと噛んでいるかどうかも重要ポイントです。 - 力の入れ方
力が入りすぎているとビスの軸がぶれて上手く締め付けられず、また思わぬケガをする危険性もあります。 - 途中で止める
ビスが効いているか確かめるためにも、壁などの材質が割れないようにするためにも、一気に締め付けず途中で止めて確認しながら締め付けましょう。 - 電気配線の安全確認
特に電気配線が通っている場所では、感電や事故を防ぐためにビスの長さや位置に注意してください。


いかがでしたでしょうか?こうしたDIYには、昔とくらべ現在ではいろいろな材料や道具が販売されています。ネットで検索してみるか、お近くのホームセンターに行ってみましょう。
弊社でもお客様宅においてビスを打つ作業が多いので、ここでこれまでの経験をまとめてご紹介させていただきました。ご参考になれば幸いです。
また、弊社のお客様でしたら、お伺いしてお手伝いすることもできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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